風上を捉える

(テラスアート湘南・テラスモール湘南 / 2023 )
熱昇華転写プリント、モーター、ソーラーパネル、ステンレス、アルミなど
上部の作品は風上の光を捉えた写真作品「Windgraph」を立体化した風で動く、風を可視化した翼である。 目に見えない風はどのように生まれ、やってくるのだろうか。コロナウイルスに翻弄された我々は世の中が改めて不確実なも のだということを目の当たりにした。気まぐれに吹く風は不確実の最たるものだろう。 それと同時に風は雲を作り、運び、雨を降らせ、時に大地を潤おし、そして時に災害となって我々の命は脅かされる。まさ に自然によって我々は生かされていることの象徴的存在である。

この作品の下部にあるもう1つの風上は、人工エネルギーである。電球とソーラーパネルという電気エネルギーの象徴を利 用して、モーターやギヤを介しタービンが動き、1分間のうち30秒間の間隔で定時的に風を起こす。 金属を中心に制作されたこの立体は人工であり、エネルギーを象徴する。

時折自然の風で動いているように見えるこの作品の風上を辿ると人工的なエネルギーが関わっていることがわかる。一方で windgraphは自然の風上を写真として捉える視点を持つ。人と自然の双方の関わりを風上という不可視な存在から考える。